『帰還出来なかった七曲』

2時間飛行したあと、ランディングへ向かうはずだった。

上空から見える大井川の蛇行は、美しく、どこまでも続いていた。

写真を撮ることに夢中になっていた私は、気づけば現在位置が分からなくなっていた。

高度は少しずつ下がり始める。

ダムの上を飛び続けながら、降りる場所を探した。

しかし眼下に広がるのは、一面の茶畑だった。

降りれば農作物を傷つけてしまう。

焦りの中で飛び続けていると、地上から、

「無人のパラグライダーが飛んでいる。事故かもしれない」

と思われていたらしい。

最後は、農家の庭先へ不時着した。

空を飛ぶことは自由だと思っていた。

だが実際は、風、地形、高度、自然との終わりのない交渉だった。

今、その記憶を油絵として描いている。

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